P to Cでものが売れていく現代、YouTubeからエンド商品に誘導できるかどうかは、演者の人間的魅力にかかっているといってもいいでしょう。
視聴者が演者に好感を持ち「この人から買いたい」と思わなければ、集客効果は見込めません。
本記事では、「この人から買いたい」と思ってもらうにはどうしたら良いのか、最近の傾向を解説していきます。
視聴者の心を掴むのは「親近感」
この人から買いたいと思ってもらうために、演者に特別なカリスマが必要というわけではありません。 YouTubeで視聴者の心をつかむ最大のポイントは「親近感」です。
直近で伸びているチャンネルの演者は、ほとんどが身近にいそうな等身大のキャラクターを売りにしています。
これは、ここ半年くらいのトレンドといえる現象です。 2年ほど前まで、ビジネス系ユーチューバーに求められるのは親しみやすさよりも「権威」でした。
若手起業家や〇〇先生と呼ばれるようなその道のスペシャリストが、肩書にふさわしい権威をまとって視聴者に語りかければ、それだけで再生がまわっていました。
ビジネス系チャンネルの演者はこぞってそのスタイルを踏襲したので、界隈には「〇〇先生がまじめに解説する系」のハウツー動画があふれかえりました。
ところが半年ほど前から、そのやり方では再生回数が増えなくなってきたのです。あまりにも似たような動画が増えすぎて、視聴者が飽きてしまったのでしょう。 代わって台頭してきたのが、権威ではなく親近感を前面に打ち出した動画です。
ビジネスYouTubeのトレンドは先生から先輩へ
「先生」の立場で語るスタイルから、ほんの少しだけ視聴者の先をいく「先輩」のポジションでやさしく説明するスタイルへと、トレンドがシフトしたのです。
例えるなら、校長先生のありがたくも退屈なお話ではなく、担任の先生や部活の先輩のおもしろい体験談を聞きたいと思う視聴者が増えているのでしょう。
今このタイミングでビジネス系ジャンルに参入するのであれば、校長先生系のまじめトークではなく、担任や先輩くらいの距離感のフランク路線でいった方が、断然ファンがつきやすくなります。
具体的な事例をご紹介しましょう。
スボラストレッチ深井さん
ダイエット系でも、少し前まではスタイル抜群のインストラクターが、科学的根拠を交えながらまじめに指導する動画が人気を集めていましたが、その手のものは徐々に下火になりつつあります。
代わりに最近では、特にスタイルがいいわけでもない、どこにでもいそうな等身大のインストラクターが頭角を現してきています。
たとえば「ズボラストレッチ」というチャンネルの演者である深井さんは“おじさん”という表現がしっくりくるようなアラサー男性です。
それも、特別細いわけでもマッチョなわけでもない、中肉中世の男性です。そんな彼が、立派なスタジオではなく、何ならちょっとボロいくらいの民家の一室にマットを敷いて、ストレッチのやり方を解説する。
このス タイルが大いにウケて、チャンネル登録者数は130万人以上になっています。 普通に考えたら、とりたててスタイルがよいわけでもない男性が「脚痩せストレッチ」「本当に痩せる腹筋」などの動画を公開しても、説得力に欠けるといわざるを得ません。
それでも同チャンネルが人気を博しているのは、タイトルどおりズボラな人でも挑戦しやすい「のび太君向け」の内容であることに加え、深井さんの飾らない姿に共感や安心感を覚える視聴者が多いからでしょう。
笑けるダイエットなるねえさん
ダイエット系では、なるねえさんの「笑けるダイエット」も参考になります。彼女のダイエット動画の特徴は、タイトルどおり「笑える」こと。
音 楽に合わせてさまざまなトレーニングに挑戦しながら「いてて~」「つらい」「これヤバい」といった率直な感想を述べる姿は、まさに先生ではなく 身近な先輩という雰囲気です。
上から目線ではなく親しみのある温度感で
このように、最近のYouTubeではお偉い先生のお堅い講話よりも「自分より少しだけ知識がある先輩の話」くらいの温度感が、もっとも伸びる傾向にあります。 では、一般的なビジネス系チャンネルの演者は、その絶妙な温度感をどうやって動画に反映すればいいのでしょうか。
まず大事なのは、上から目線で話すのではなく、親しげな雰囲気を心掛けることです。社長が演者を務める場合は、いつもの癖でついつい偉ぶった話し方になってしまうことがあるので、特に注意してください。
そのうえで、動画の冒頭5秒もしくは終わりの10秒くらいに、ちょっとプライベートな話を交えるのがおすすめです。 たとえば子育て中の人だったら「今日は子どもが保育園にいく前に泣いてしまって、バタバタ動画撮ってます」といった話をマクラに本題へ入っていくと、一気に親近感がわきます。
あるいは動画の最後に「今日の撮影、めっちゃ疲れたな。このままマックいっちゃうか」という感じのコメントを入れるのもいいでしょう。
テレビ番組で楽屋などのオフショットを映すのも狙いは同じで、表向きの顔だけではなく、プライベートな部分での「人となり」がわかった方が、 視聴者はより演者に興味をもってくれるのです。
まとめ
いかがでしたか。
YouTubeにもトレンドがあり、視聴者から求められる演者というのは日々変わっていくものです。
最近では、権威ある形で解説する動画よりも、視聴者にとって親近感が面白い先輩くらいのポジションのユーチューバーがウケる風潮があります。
このように時代のトレンドを読む力をつけて、この人から買いたいと思ってもらうことを目指していきましょう。